前章では、特許出願する前にすることをお勧めした特許調査の重要性についてお伝えいたしました。
この章では、特許調査から抽出した特許公報にの読み方についてお伝えできればと思います。
特許庁から発行される公報
特許出願した発明は、世の中に活用できるよう、公報として公開されます。
特許庁から発行される公報は、2種類あります。
“公開特許公報”と“特許公報”です。
公開特許公報とは
原則、特許出願後の1年6ヶ月後に発行されるのが、公開特許公報です。この発行段階では、出願した発明はまだ権利化されていません。
公開特許公報を参考に、技術開発して、世の中をより良くしてね。という意味合いが強いです。
また、後手となって同様な技術開発をしないようにする目的も公開特許公報にはあります。
特許公報とは
特許庁の審査官により晴れて合格をもらった発明が掲載される公報を特許公報といいます。
公開特許公報とは違い、発行されるタイミングが発明の審査状況によってばらつきます。
特許公報は、権利化された発明が記載されているので、注意深く読む必要があります。
公報を読む目的を決めよう
同じ発明に対して、2種類の公報があるのでどちらを読めばいいか悩むかもしれません。
ですが、目的がはっきりしていれば公報を迷わず選択できます。
例えば、思いついて発明に対し、”新しいもの”であるか確認したい場合は、公開特許公報を読むことをお勧めします。
一方、新製品を販売したいけど、他人の特許が気になる場合は、特許公報を読みます。
この場合、公開特許公報を読むことは避けてください。
審査の過程で、権利化したい発明の範囲が公開特許公報と特許公報とで異なっている場合があるためです。詳細は別章でお伝えします。
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公開特許公報を読む
J-Platpatで表示される画面を通じてご紹介します。
今回は、“特表2016-507414”の公開特許公報を使用します。
簡易検索などで公報を検索すると下記のように表示されます。
画面が切り替わり、公報が確認できます。
自分の発明が新しいか確認したい場合など、どういった発明が記載されているか調べるときは、この手順で読むことをお勧めします。
- 図面を見て、調べたい内容か“直感的に”調査します。
(この場合、化学や制御関連は精査しがたいです。) - 関連しそうと感じたら、要約を見て、“大体の内容”を把握します。
- 最後に、公報の中身を読みますが、長文で目が痛くなるので、課題を見て、自分の発明課題と一致しているか確認。
一致していれば、実施例を見てみる、といった流れをお勧めします。
本章の締め
公報を読もうとすると、どうしても、抵抗感が出てしまいます。
ですが、目的に応じて読む箇所を絞ってみると、案外、早い段階で大体の内容を把握することができます。
次の章では、登録になった“特許公報”の読み方についてお伝えしたいと思います。
以上
今回の資料は、下記からダウンロードできます。