《その2》ということで、前回のでは【 公開特許公報 】の読み方をお伝えしましたが、今回は審査を経て登録になった後に発行される【 特許公報 】の読み方をお伝えします。
特許公報を読む
前回の続きですので、早速、特許公報の読み方をお伝えします。
今回も、J-Platpatで表示される画面を通じてご紹介します。
“特許第6249501”の特許公報を使用します。
簡易検索などで公報を検索すると下記のように表示されます。
画面が切り替わり、公報が確認できます。
権利範囲が記載されている“請求の範囲”を精読します。
文字だけなので、図面と比較しながら精読することをお勧めします。より権利範囲の理解ができると思います。
ここで、なぜ公開特許公報ではなく、特許公報を読む必要があるかを、1点に絞ってご説明します。
権利化に至るまでには、審査を通過する必要がありますが、この審査の過程で、対象の発明の権利範囲が微修正されることがあります。
これは、審査を通過するために、”特許性”を主張するための処置によるものです。この流れに関しては別章で詳細にお伝えします。
ここでは、”公開特許公報と特許公報とでは権利範囲が異なる”と理解していただけると嬉しいです。
この特許の場合、公開特許公報の権利範囲は、特許公報の権利範囲と比べ広範囲となっています。
範囲が広い?よくわからないですね。
この章で詳細に説明するのは、混乱の元ですので、〖 請求項1の文が長くなったから主張したいことが増えたのか 〗ぐらいに考えてください。
特許公報の請求の範囲を読むときは、まず、請求項1などの独立した項を読みます。
一方、請求項2などの従属した項は、優先度を落として読んできます。
”独立している”か”従属しているか”は、請求の範囲に【請求項○に記載の・・・】が記載されているかで判断できます。
記載されていれば、その項は”従属している”と判断できます。
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自社製品と他社特許の関係性を確認
請求の範囲の構成をご理解いただいた上で、さっそく特許公報を読む目的に立ち返ってみます。
請求項1に記載されている権利範囲と、自社の製品とを
見比べて、権利範囲に製品が含まれている確認します。
一方、従属関係にある請求項2などのみを見比べることは避けます。
請求項1が主だった権利範囲であり、請求項2のみと製品とに
関連性があっても問題はないためです。
(請求項1などの独立した範囲と関連性がないことが前提です)
本章の締め
目的が、自社製品と他社権利の比較ですので、慎重に特許公報を読む必要があります。
今回の説明だけでは、“請求の範囲”をどう読めばいいかお伝えしきれていませんので、次回に続きます。
次回で特許公報の読み方は一区切りにします。
以上
今回の資料は、下記からダウンロードできます。